内科、整形外科から心療内科まで、広い領域をカバー
診療科目が多いことが最大の特徴です。
現在は、高血圧症、高脂血症、糖尿病、気管支ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(たばこ病)、胃炎、逆流性食道炎などの内科、腰痛や関節症などの整形外科を中心に、肛門内科・外科、アレルギー科、皮膚科、リハビリテーション科、心療内科の疾患をもつ患者さんが多く受診していますが、基本的にはかかりつけ医として「なんでも診ます」というポリシーで診療しています。肛門の痛みで悩むイボ痔の患者さんには外来で手術を行っています。
また、ご高齢になると糖尿病と腰痛といったように、内科疾患と整形外科疾患を併せもつ方が少なくありません。さらに足白癬(水虫)や帯状疱疹といった皮膚のトラブル、うつ病なども増えてきます。
私自身、昔から精神科疾患には関心がありました。
また、救命救急センターには薬物中毒や自傷行為といった、メンタル面でのトラブルを抱える患者さんがたくさん運ばれてきます。彼らに対して、まずは初期治療を行いますが、多くの方は重症ですので1ヵ月程度は入院され、その間には精神面の管理も含めたフォローを行っていました。そんな経験もあり、当クリニックの診療科目には心療内科も含めています。一時は、うつ病の患者さんを120人ほど診ていた時期もあります。
患者さんから「診療所をいくつも回らずに済むから助かるわ」と喜んでいただくことも多いです。もちろん、重症化したものや専門性の高い疾患は大規模病院に紹介しますが、それ以外はできるだけ当クリニックで診ていきたいと考えています。複数の疾患がある場合は、そのときの症状によってどの疾患を優先的に治療するか考えながら、全身管理をすることが大事になります。
しんどい時に「できるだけここで治してあげたい」
過去の関連病院や救命救急センターでの勤務経験が大きく、大学の医局から小規模の関連病院に行くと泌尿器科や皮膚科、精神科など、その病院にはない診療科の病気もよく任されました。また、奈良県の救命救急センターは県内の高次救急患者を年間1500人ほど受け入れるような施設で、そのうち1割は心肺停止という非常に厳しい環境でした。交通外傷、脳内出血、心筋梗塞などあらゆる重症患者で初期対応をしている中で「なんでも自分で考えて診ていこう」という素地ができましたね。「救命救急センターでは勤務したくない」と言う医師もいるほど忙しい日々でしたが、多くの症例を経験し、知識や経験を積むことができました。その結果、国内では120回、海外ではヨーロッパを中心に12回ほど国際学会で発表する機会を得ることができたので良かったと思います。
訪問診療については開業前から準備をしていました。開業後、外来で診ていた患者さんがご高齢になるのに合わせて、訪問診療に移るケースが多いです。内科なら慢性心不全や呼吸不全、整形外科なら腰椎圧迫骨折や関節痛、脳梗塞に伴う麻痺や認知症などで通院できないご高齢の方が増えています。7年ほど前は月に220人ほどを徒歩や自転車で訪問していました。今は月に85人ほど、例えば月曜日は朝から午後の診療までの間に40人ほどを診ていますが、すべてタクシーを使用し、診療と看護は別動隊にしたので1軒あたりの時間もさほどかからず、当時に比べれば楽なものです。在宅診療では治療に対する力量はもちろん、患者さんやご家族との会話力、また体力も必要ですので、医師としての総合力を問われます。ここでも救命救急センターでの過酷な経験が生きていますね。
「せっかく来てくれた患者さんだから、できるだけこのクリニックで治してあげたい」という思いです。また私はざっくばらんな性格ですので、患者さんには昔から「気さくな先生」「話しやすい先生」と言われることが多いかな。特に相性の良い患者さんは、勤務医時代には異動しても次の病院までついてきてくれたものです。当クリニックの開業当初も、奈良からわざわざ通ってくれた患者さんたちがいました。だから患者さんとは話が弾みますが、待ち時間が長いことを嫌がる患者さんも多いので、そのバランスが今の悩みではあります。
開業から10年以上がたち、新しい患者さんにもクチコミで来ていただけるようになるなど、地域に根付くことができました。今後はもう少し医療機器を充実させ、待合室を広くするなど施設をリニューアルして、患者さんにより満足してもらえる医療を提供できるように、環境を整えられればと思っています。これからも、「なんでもござれ」の精神で、患者さんの健康をサポートしていきます。